Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

口腔外科、補綴科とインプラント科

歯科大学病院インプラント科の歴史

 

日本においては、歯科インプラントの歴史は他の先進国とは少し違う歴史を持っています。

世界の他の先進国では、1960年代以降、歯科インプラントの発展がスムーズに行われましたが、日本においてはスムーズに行われませんでした。

これには色々な理由があります。

一つには、歯科大学の研究者があまり歯科インプラントに興味が無かったのもありますし、また、言語の壁(歯科では情報の収拾は英語によります)もありましたし、その他色々な要素があります。

ということで、日本においては、他の先進国のような歯科インプラント治療が行われはじめたのは1990年代以降です。

歯科大学病院において、いきなりインプラントの専門家がそのときを境にできたのではなく、他の診療科から、時としては基礎系の講座から人員を調達して、インプラント科ができました。

日本においては、主に2つの診療科から人員が移動または兼任というかたちとなりました。

その一つは口腔外科(病気を口腔または口腔周囲領域の外科的な治療により治す科です。骨折、感染症、癌などを扱う科です)と、もう一つは補綴科(入れ歯、さし歯、ブリッジ、かぶせ物などの人工の歯を作ったりする科です)です。

もともと口腔外科を専門に行なってきた歯科医師が、急にインプラント科の教授になるということもあったそうです。インプラント治療には口腔外科的な要素が強いですので、インプラントを顎の骨を削ってそこに入れるのには、やはり口腔外科的な手技が必要になります。

また、補綴科は、インプラント治療においては治療が成功するか失敗するかの鍵を握る、噛み合わせという分野を扱うので、これもインプラント治療における大切な要素となります。従って、日本においては、歯科大学の教授、准教授レベルでは、口腔外科のバックグラウンドを持つ歯科医師と補綴科のバックグラウンドを持つ

歯科医師の2つの系統があり、 元々インプラント科のバックグラウンドを持つ歯科医師というのは、現在のところ、時期・時間的に早すぎて、まだなのではないかと思います。某国立大学のインプラント科の教授には、基礎系である薬理学のバックグランドを持つ歯科医師もおられるそうです。

日本においては、このインプラント科の歯科医師が、インプラントの埋入(口腔外科的な要素)から、型をとり装着、セット(補綴科的要素)するまですべてを担当します。

外国では、国が違えば制度も違いますので、例えばアメリカでは、専門医制度が厳格に確立されており、多くの場合、インプラントを顎の骨に埋入するのは、歯周病専門医が行い、人工歯を型をとって製作して、装着するのは補綴科専門歯科医師が行うと聞いています。かなりの分業化が行われています(この制度にもかなりの利点と欠点があるそうですが)。

日本の歯科大学病院でのインプラント科では、口腔外科のバックグランドを持つ歯科医師は、中には、補綴、つまり被せ物、噛み合わせ(咬合)について、まったく興味がない方も割り合いおられるように感じます(口腔外科医なので、補綴、噛み合わせのことは、分からないと公言する方もおられました。)。

また、補綴科のバックグラウンドを持つ歯科医師は、インプラント埋入(口腔外科的な要素)について興味がない方はゼロです。口腔外科についても、かなり猛勉強して素晴らしいテクニックを持っておられるという感じがします。

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