ショートインプラント
最近、はやりのショートインプラント(短いインプラント)
歯科インプラント業界でも、歯科インプラントに関する考え方が時代や時間の経過により変わってくることがあります。(そのなかには、2つの考えが時代とともに行ったり来たりするものもあります。)
そして、そのすべてが、所謂(いわゆる)、科学的根拠に基づいたものとされています。(歯医者はこれをEBMと呼んでいます。英語からでevidence based medicine エビデンス ベースド メデシン )
インプラント業界で最近言われているのは、ショートインプラントつまり、インプラントの長さが短いインプラントについてです。
ここ5年ほど、日本の歯科インプラントの講演会では、ショートインプラントは通常の長さの歯科インプラントと同じ成功率であるので、ショートインプラントを使おうと言われています。
それに関する科学的根拠というか証拠のデータを示してそう言っています。
歯科業界で科学的根拠があると歯医者が言う場合、注意しなくてはならない場合が多々あります。
歯科医療において、同じ前提条件を多くの患者さんにつくることはできないので、データを取る際に、いろいろな前提条件、パラメーターが複雑に絡み合っている場合があります。
特に、研究者が、自分が欲しい結果をデータから導き出したい時に、パラメーターを複雑にする傾向があります。
パラメーターを複雑化すれば、実際の科学的事実と正反対の結論を導き出すことも可能です。
そして、歯科インプラント界では、歯科インプラント論文のオリジナル原文を読むインプラント歯医者は歯医者全体の人数から比較すれば少なく、それが英語で書かれたものであればさらに少なくなります。
長い英語論文の、違う研究者が要約、翻訳したバージョンを読んで、歯科インプラントについて語る歯医者が、多くいます。
ということで、最近の歯科インプラント界では、長さ4ミリのインプラントでも普通の長さのインプラント(通常は10ミリを意味します)と変わりないというインプラント歯医者も存在します。
しかし、短いインプラントでも大丈夫という結論を導き出している長い英語論文には、注意する必要があると私は思っています。
前提条件、パラメーターに、一見まともそうで実は隠された変なものはないか注意深く見る必要があります。
過去の研究から、インプラントの長さに関しては、長いものの方が有利だという研究結果がたくさんあります。(実際にインプラントが抜けて失敗した本数を数えたものなど)
短いインプラントでも、普通のインプラントと同等の成功率があるかどうかは、少なくとも15年ぐらいのスパンで見る必要があると私は考えています。