Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

超高齢社会とインプラント

ワンピースインプラント

 

今の若者にとってのワンピースとは、ルフィーが出てくるアニメのワンピースです。

そして、私より1世代上の人にとってのワンピースとは、イギリスのツイッギーが広めた女性の服のワンピースでしょうか。

我々、インプラント歯科医師にとってのワンピースとは、ワンピースインプラントです。

ではワンピースインプラントとは?

インプラントを分類する上で、ワンピースインプラントとツーピースインプラントという分け方があります。(実際には、スリーピースインプラントも存在しますが、ツーピースインプラントの中に入れられています。)

ワンピースインプラントとは、その名前通り、一つのかたまりになっているインプラントです。

ツーピースインプラントとは、その名前が示す通り、2つのパーツに分かれたインプラントです。その2つのパーツとは、顎のなかに入れる部分と、その顎のなかに入ってる部分につなげる土台になる部分です。この土台になる部分は、スクリューで顎の中に入った部分とつなげます。この土台に人工歯をセメントでくっつける、または、土台そのものに歯の形態、色をつけて、顎の骨に入った部分とスクリューでくっつけます。

最近の主流はツーピースインプラントです。どうしてツーピースインプラントかというと成功率が高いからです。

ワンピースインプラントの場合、インプラントを植立した場合、ワンピースのため、口の中(口腔内)にインプラントの半分が出た状態になります。その半分の口腔内に出た部分に、セメントで人工歯をくっつけることになりますが、その場合、インプラントと骨がくっつくまで、半分口腔内に出た状態で2~6ヶ月待たなければなりません(インプラントは、クギを木に打ちつけた時のように機械的な摩擦力によって固定されるのではなく、インプラントのまわりに骨の細胞が寄ってきて新しい骨ができることに寄って固定されます、つまりそのための時間が必要です。)。

従って、その2~6ヶ月の期間に外力が加わると新たにインプラントのまわりににできかけた骨は破壊され、それに引き続く、感染の原因になり、インプラントが抜けてしまいます。

ワンピースインプラントの場合、インプラントを骨に入れたその日から、口腔内に出ている部分が食べ物や舌、頰粘膜にあたりますので、その外力でインプラントが骨にくっつかず(歯科用語ではインテグレーションせず)抜けてしまう可能性が高くなります。

それに対して、ツーピースインプラントは、インプラント(フィクスチャー)全体を顎の骨に埋めてしまいますので、食べ物や舌、頰粘膜などの外力が加わらないです。従って、時間を待てば、インプラントと骨はくっつきます(インテグレーションします)

ここまでの話だと、ツーピースインプラントの方が優れているように聞こえたかもしれませんが、必ずしもそうではなく、ワンピースインプラントにはワンピースインプラントの良いところがあります。ワンピースインプラントは、費用が安く抑えられるといういい点もありますし、また、ツーピースインプラントの欠点であるその2つのピースをつなげるためのスクリューが緩む可能性がありますが、ワンピースインプラントにおいては、ワンピースですので、緩むことはあり得ません。

ということで、ワンピースインプラント、ツーピースインプラントもそれぞれ利点、欠点があります。

その中で、最近急激にクローズアップされているのが、高齢者、特に認知症高齢者における歯科インプラントの取り扱いです。

インプラント治療について、知識がまったくない、また、過去に日本独特な失敗に終わったインプラント(これはワンピースインプラントでした)しか知らない歯科医師らのなかには、要介護や認知症になったらメンテナンスを受けられなくなり、その結果インプラントもメンテナンスを受けられず不都合が起こるのではないかと主張しておられる方もいると聞いています。そう主張している歯科医師にとって、インプラントとはワンピースインプラントのことだけしか頭にないようです。ワンピースインプラントを入れておられる方が、虫歯で他の歯が全部ダメになり、そのインプラントだけが残ってしまい、結果、そのインプラントにつけた人工歯が反対側の歯茎と噛み合うようになり、その歯茎を深く傷つけて大変になったことが報告されてたりして問題視してますが、それはワンピースインプラントで起こり得ることで、ツーピースインプラントでは起こりません。ツーピースインプラントの場合、そういう状況になりそうであれば、ツーピースをつなげているスクリューを緩めてはずして、蓋を被せれば解決できる問題です(インプラント歯科医師はスリープさせると言います)。

また、上記のことは、訪問歯科診療がない仮定の話ですが、将来的には、訪問歯科診療も今よりは格段に普及していきます。

インプラント治療を行っている歯科医院の方が、インプラント治療を行っていない歯科医院よりかなりの確率で、訪問歯科診療に積極的に参加しているという調査結果も出ています。

日本においては、超高齢社会に向けて、インプラント歯科も対応することが求められていますし、また、インプラント歯科医師もその他様々な面でいろいろな工夫をしています。

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