Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

天然歯とインプラントをつなげてブリッジに

インプラント治療を希望されて来院される患者さんによく言われることのひとつに、例えば2本の歯が欠損している場合、1本だけインプラントを入れて、そして残っている欠損した部分のすぐ横の自分の歯、つまり天然歯の1本を利用して、その天然歯と1本のインプラント1本を支えにしてその間の欠損部分1本とにブリッジを作って、計3本をつなげたひとかたまりにして、その支えのインプラントと天然歯に噛み合わせの負担を持たせた形にすることで、解決する方法でインプラント治療をして欲しいということを言われます。

こうすれば欠損している2本分を、1本だけインプラントを埋入することで解決することができます。

ということは、2本の欠損に対して1本分のインプラント埋入の費用でできるということになりますので、とても魅力的な方法です。

しかしながら、この方法でインプラント治療を行うと、2~3年後には、このインプラントが抜けてしまいます。

このことは、世界のインプラント歯科医師が過去に教訓として学んだことです。そうしてこんなことは、絶対にしないと思っています。

この理由は、自分の歯、つまり、天然歯は、噛んだチカラで数十ミクロンから場合によっては数百ミクロン沈み込みます。それは、天然歯と骨は直接接触していないからです。天然歯と骨の間に歯根膜という薄い膜で、柔らかい線維を介して接触固定されています。

それに反して、インプラントは骨とチタンのインプラント表面が光学顕微鏡(普通の顕微鏡)で見ると、しっかりとくっついていて、つまり、硬いインプラント表面とヒトのカラダのなかでは、かたい骨が直接接触していて、あそびがありません。その状態を歯科用語では、オッセオインテグレーションと呼んでいます。オッセオは、骨を意味して、インテグレーションは結合を意味しています。(電子顕微鏡で見ると必ずしも直接ついているとは言えないのですが、また、チタン表面の処理の仕方では、電子顕微鏡的にも直接くっついているバイオインテグレーションという接触様式もあります。)

つまり、噛んだチカラがかかってもインプラントは、骨のなかで動くことは、基本的にはありません。

噛む力がかかると、一方がインプラントで全く動かず、もう一方は動く、沈み込む天然歯だと、つながっているので、その噛むチカラによって沈み込む天然歯はインプラントを引き倒すチカラとして働き、そのうちインプラントは抜けてしまいます。

従って、この設計は、インプラント歯科医師としては受け入れることができません。

従って、この2本分の欠損をこの1本のインプラントで行うよりは、場合によっては、2本分の欠損はあるけれども、今回は1本分の欠損だけの治療にして、1本分の欠損に1本だけのインプラントと人工歯をいれて、残りのもう1本を、また数年後に入れるという提案をすることもあります。

 余談

欠損の歯の配列によっては例外も存在します。1本真ん中に天然歯が残る、とびとびの3本の歯の欠損で、天然歯を中心に、欠損の両端にインプラントを入れ、真ん中に自分の歯を残して、これをひとかたまりのブリッジにすることです。なぜこれが可能かというと、両端がインプラントのため、嚙んだときに沈み込むということはありません。真ん中の天然歯は、両端はインプラントが沈み込まないため、この真ん中の天然歯も沈み込みこまないからです。その時は、この天然歯には特別な処置(内冠、外冠をつけること)が必要になります。

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