Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

どうして日本には、インプラントを否定する歯科医師がいるか?

最近(ここ10年間)では少なくなりましたが、日本には歯科インプラント治療そのものを否定する歯科医師がいます。

これは、アメリカ、カナダ、イギリス、スウェーデンなどの欧米の国々の歯科医師のあいだでは、ほぼゼロですので日本独特な現象です。

日本の歯科大学での教育に、本格的に歯科インプラントの事について教え始めたのもつい最近ですので、今の日本の若い歯科医師は、インプラント治療を、歯が抜けた場合のブリッジ、入れ歯と並ぶ、ひとつのオプションとして認識していますが、私の年齢(54歳)以上の歯科医師の中に、インプラント治療に関して否定的な歯科医師が割り合い多くいます。

その理由は、1980年代に、欧米では使用されていない日本独自の歯科インプラントの材質のもので治療が行われたことによります。その当時、欧米では、チタン製のインプラントが使用されていましたが、日本では、チタン製ではなくてセラミック製のインプラントが使用されていました。

セラミック製のインプラントなので、強度的にはチタンよりずっと弱く折れたりします。折れれば、いったん入れたインプラントをまた撤去しなければならず大変でした。また、強度が弱いために、口腔内に残っている健全な歯を削ってその歯につなげることが必須となっていました。それでもそのセラミック製のインプラントが折れることがありました。

また、インプラントとその周りの歯槽骨の結合の仕方(結合様式)にも、大きな、そしてインプラント治療の成否を左右する決定的な違いがありました。

チタン製インプラントにおいては、基本的には、チタン表面と歯槽骨は、直接接触、つまりチタン表面に骨が直接絡みあって強く結合していますが、日本独自のセラミック製のインプラントの場合、歯槽骨とセラミック表面が直接接触していませんでした。つまり、セラミック表面と骨の間に、柔らかい線維組織が入り込んできていました。従って、セラミック製インプラントと歯槽骨の結合は弱く、噛むチカラを受け止めるという観点からは不利でした。

その結果として、日本においては、セラミック製インプラントの成功率はかなり低く日本の歯科医師のあいだでは、インプラント治療は歯科治療としては成り立たない方法という認識となりました。

そして、その後日本にも世界標準のチタン製インプラントによる治療が入ってきた後も、セラミック製インプラントの治療と同じだと思っている歯科医師がまだおられるということです。

チタン製インプラントの歴史はもう70年近くあり、確立された治療である事は、アメリカを始め、欧米、また、韓国などで標準的に行われている治療であることを見れば明らかであるはずですが。

ただ、そういう歯科医師もここ10年でかなり減少しました。中には、年齢の関係で、一線を退いた歯科医師も多くおられますし、インプラント治療否定派から転身して勉強をしてチタン製インプラントの治療を始めた歯科医師もおられます。

 余談

最近気になるのは、日本の一部の歯科医師のあいだで行われはじめているチタンではなく、ジルコニアでできているインプラントによる治療です。口腔内に出ている人工歯に関しては、ジルコニアは時間が経つと割れたりすることもありますが、そのジルコニアが人工歯ではなく、顎の骨のなかに入るインプラントフィクスチャーの材料として用いられる時、経年劣化して折れたりしないのか、個人的にはどうなのか知りたく思っています。また、顎の骨との結合様式はどうなっているかも知りたいところです。いまのところ、このジルコニアインプラントは日本の厚労省の認可は得ておらず、一部の歯科医師が、個人の責任で直接外国から個人輸入で使用しているとのことですが、どうなのかすごく興味があります。私自身は、折れたり抜けたりせずに、完全に安全だと確信が持て、日本の厚労省が認可するまで導入するつもりはありませんが。

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