Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

ブレードインプラント

現在、世界と日本で使用されている歯科インプラントの形は、円筒状というか円柱状というか英語で言えばシリンダー状です。断面が正円形のまん丸です。

それとは違い薄い板状で、T型のインプラントもかつて存在しました。T型の底辺を顎の骨の中に入れて、そこから縦棒が口の中に突き出しているような形です。

薄い板状のため、ブレードインプラントと呼ばれています。

1980年代に日本でよくこのブレードインプラントの治療が行われていました。

私の叔父が、私が歯科医院を開業してまもなく患者さんとして来院した時に、このブレードインプラントが顎の骨の中に入っているのを見て驚いたことがありました。富山県ではなく勤務地でこのブレードインプラントを入れたと言ってました。

このブレードインプラントは、日本では1980年代の後半に限定して行われた歯科インプラント治療法です。どうしてこの短い期間限定に行われたかというと、ほとんどは失敗に終わり、こんな治療法はとても患者さんには使えないということを、すべてのインプラント歯科医師が学習したからです。

私が歯医者になりたての1980年代後半は、まだいろいろなところでこのブレードインプラントの導入研修会が行われていました。そして、私もこのブレードインプラントについて調べたことがあります。そして、このブレードインプラントを私は行わないと、その時、結論づけました。

このブレードインプラントの特徴は、削る骨の量がかなり多くなり、その量は体積的には薄い短冊状に骨を削らなければ、このブレードインプラントを顎の骨の中に入れることができませんので大きくなります。現在使用されているインプラントを入れるときに削らなければならない骨の量と比べると、何倍もの骨を削らなければなりません。その結果として侵襲が大きい治療となります。侵襲が大きいということは、術後、大く腫れる、強い痛みが出るなどの患者さんにとっての不快、不都合なことが大きくなるということです。

そして最大の問題点は、直ぐにグラグラして動くようになる、グラグラすれば、痛みも出てきて噛めなくなる。口の中に入れている事自体が苦痛になるという結果になります。

したがって、このブレードインプラントを撤去する必要が出てきます。

そして今度は、この撤去自体も、ブレードインプラントの形態が複雑なため、困難な撤去手術となります。この撤去手術が大きな侵襲となります。

また、しばらくの間、順調に機能している間も、T型のネック部分に応力が集中して折れるということもよく耳にしました。従ってこのブレードインプラントは、日本を含む世界のインプラント歯科医院の治療のオプションから数年で消え去りました。

現時点では、ブレードインプラントが口の中に機能して残っておられる方はほとんどおられないと思いますが、広い日本ではたぶんゼロではないですので、インプラント歯科医師として私も将来遭遇する可能性があります。

現在日本、世界で使用されているインプラントは、面白いことに最も古くに開発されたもので、単純でシンプルなものとなっています。現代インプラントが生まれた時の形の円筒型です。70年ぐらいの歴史があり、その間、現在まで多くの方が口の中で今も存在し、正常に機能しています。

したがって、実績からも、このシンプルな円筒形、円柱形が、最も信頼される形であるということが言えます。

 

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