インプラント治療時の全身管理
歯科インプラントの基本は全身管理から
インプラント治療には、強いストレスがつきものです。
そして、患者さんのその強いストレスのもとで、安全にチタンの金属のインプラントを顎の骨の中に入れることは、インプラント歯医者にとって、重要な責務です。
そこで、今回は、歯科インプラントを顎の中に埋入する時の全身管理と麻酔に焦点を当てようと思います。
やまもと歯科インプラント室では、歯科インプラントの埋入にかかる時間は、早くて30分です。また最も時間がかかる場合は、3時間です。
そして平均的には、1時間ぐらいです。
そのあいだは、緊張感を持ち続けるということになります。
それは、カラダにとっては、かなりのストレスとなり負担となります。
そのため、やまもと歯科インプラント室では、低濃度の笑気による軽い麻酔から、全身麻酔の手前ぐらいの本格的な鎮静法まで用意をしています、これは歯科インプラントそして一般的に歯医者の用語では、静脈内鎮静法と呼ばれるものです。
この、低濃度の笑気による軽い麻酔、つまり笑気吸入鎮静法と静脈内鎮静法の中間的な方法もあります。これはハイブリッド鎮静法と呼ばれています。
やまもと歯科インプラント室では、2時間以上のインプラント治療が見込まれる場合、または、インプラント治療に対する恐怖心が強い患者さんには、このハイブリッド鎮静法をオススメしております。
ハイブリッド鎮静法とは
まずは、歯科インプラントの埋入のための局所麻酔に先立って、通常の笑気吸入鎮静法で、笑気を吸入していただき、そのうえで、静脈内鎮静法に使う薬剤であるドルミカムという薬剤を、静脈内ではなく、皮下または粘膜下にいれます。
麻酔の効果は、徐々に効いてきます。そして不安感も軽減して、安全で楽な状態で歯科インプラント治療を受けていただくことが可能となります。
エコノミークラス症候群
飛行機を乗っている時だけではなく歯科インプラント治療時も配慮が必要なものがエコノミークラス症候群です。
インプラント治療は、通常の歯科治療と比べて強い緊張感が感じられますし、インプラントの埋入のために、滅菌したシートで顔と上半身を覆いますので、一般的には、一度インプラントの埋入に取り掛かると最後の縫合が終わるまで、治療の椅子または台の上でそのままの状態ということがほとんどです。
しかし、やまもと歯科インプラント室では、短時間のインプラントの埋入の場合を除いて、そういう、ずっと同じ姿勢でインプラント治療をうけていただくことはありません。
途中で滅菌したシートをはずしてレントゲンをとったり、その時にトイレ休憩をしたり色々します。
これには、重要な意味があります。海外旅行の時の飛行機の移動の時に、時々話題になるエコノミークラス症候群を防ぐためです。インプラント治療のために高度な緊張感のもとで、姿勢を変えることなく、長時間、口を開けている状態、そしてその時は、足も動きません。
そうすると足の深部でできた、血栓がインプラント治療がおわって、歩きはじめたときに、肺に飛ぶエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が起きる可能性は、ゼロではないと思っています。
歯科インプラント治療は歯科治療全体からみれば、特殊な治療ですので、通常の歯科治療の時以上に全身状態への配慮、そして全身管理が必要となります。