Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

インプラント治療を質的にをかえた周辺機器 その2

歯科用CTがインプラント治療をかなり変えたということを、以前話しましたが、この歯科用CT以外に、インプラント治療を著しく変えたものがあります。それがピエゾサージェリーと呼ばれるものです。

このピエゾサージェリーとは、超音波振動を使って、ダイヤモンドチップ(金属の棒の表面にダイヤモンドの粉をまぶしたもの)を骨にあて骨を切ったり穴をあけたりする道具です。これだけ聞くと、じゃ、今までと基本的には同じなのでは、ということになりますが、実は全然、今までのドリルで削る時とは違ってきます。

一番の違いとは、このピエゾサージェリーというものは、カラダの中の硬組織である骨に選択的に作用するという点です。軟組織である神経や血管(動脈、静脈)を傷つけるということがありません。ドリルで顎の骨を削っている最中に、神経に触れ、神経の損傷や切断により、知覚の麻痺や知覚の低下が起こるということがなくなります。例えば、上顎奥歯のインプラント治療のため、サイナスリフトという上顎洞を開けることを行う時、従来ならば、上顎洞を構成する骨の一部を削っている最中に、患者さんによる個人差によって後上歯槽動脈(こうじょうしそうどうみゃく)がはしる位置が違い、場合によってはその後上歯槽動脈を傷つけて、多くの時間をその止血のために使わなくてはならなくなり、インプラント埋入どころではなくなりますが、このピエゾサージェリーで行うと、この後上歯槽動脈を傷つける可能性がほとんどゼロになるため、インプラント治療をスムーズに行うことができるようになります。また、下顎の場合も、骨を削る際に微妙な状況の時は、まずはこのピエゾサージェリーで行うことによって、神経の損傷や動脈の損傷を、かなりの確率で防ぐことができるようになりました。

2番目に来る、このピエゾサージェリーの特徴は、例えば、エッジ状の骨の先端から(起始点として)ドリルで骨にあけようとする時、エッジにあたっているので、エッジの斜面にドリルの先端が滑ってしまい、骨に穴をあけ始める起始点にドリルを固定することが出来ず、ただその周辺にドリルによる傷だけを残し、穴があけられないという結果になる場合がありましたが、ピエゾサージェリーで行うと、そういう切削器具の先が、骨の傾斜により滑って削れないということがなくなります。

3番目には、あまり臨床的には(実際のインプラント治療を行う上で)重要なことではないですが、このピエゾサージェリーの開発者が強く主張していることには、骨の切削時に、ドリルでは注水をするものの、骨表面の火傷が大きいけれども、ピエゾサージェリーではそれを小さくできるということです。私は実際のインプラント治療において、その成否に影響を与えるほどの要素ではないと思っていますが。

 

従って、インプラント治療において、ピエゾサージェリーは、今までインプラント治療ができなかった方、できないと言われた方の多くの方にもインプラント治療を可能にすることができ、大きな変革をもたらした機器です。

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