Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

インプラントとニュートン

トルクという言葉をきいたことがあるでしょうか。

歯科インプラントにおいては、トルクという言葉がしょっちゅうでてきます。

トルクとは、ある物体(例えばインプラント)を中心(軸)に、それを回転させる時に、その物体の回転の軸まわりに生じる物体を回転させるちからです。

自動車なら、タイヤをまわすためのちからです。このチカラがつよければ、自動車のタイヤがチカラ強く、はやく回転します。

物体を回転するチカラ、チカラのモーメントの単位をニュートン(N)とよんでいます。

歯科インプラントの場合も基本的には同じです。

インプラントを入れるために顎の骨に穴(歯科用語ではインプラントホール)を開けるとき、その穴の直径は、実際に入れるインプラントの直径より、わずかに小さくします。

なぜかというと、例えば、もしインプラントの直径よりわずかに大きな穴を開けて、そこにインプラントを入れようとすれば、インプラントは簡単にその穴に入りますが、手で引っ張れば抜けてしまいます。穴の中で、ガタガタ動く状態となります。

では、インプラントの直径と、穴(インプラントホール)の直径が同じなら、どうなるか?これは、顎の骨の弾力性、硬さにより結果はちがってきます。もし、顎の骨が極度に硬くて、弾力性がまるっきりなければ、インプラントをねじ込もう(インプラントを軸を中心に回転させる)としても、なかなかインプラントは穴に入っていきません。そこに摩擦力が働いて、かなり大きなねじ込むチカラ(インプラントを軸を中心に回転させるチカラ)を必要とします。これはあくまでも、顎の骨がきわめて、硬い場合です。顎の骨は、歯科関係者以外の人は、硬いと思っておられるかたが多いかもしれませんが、実際には、ほとんどの場合硬くありません、口腔粘膜にくっついている骨表面は、皮質骨(ひしつこつ)という硬めの骨でできていますが、皮質骨は厚くはありません。上顎の奥歯の部分では、1ミリぐらいです。その皮質骨の中にある骨は、海面骨(かいめんこつ)と言われている部分です。非常に柔らかい骨です。私にとっては、発泡スチロールと同じくらいではないかと思われるようなところもあります。

また、インプラントホール(穴)の直径をインプラントの直径と同じにする条件下で、普通の、硬さの顎の骨の場合、インプラントを回転させながら、穴に入れる時、抵抗なくはいっていき、つまり、ズボズボの状態で入っていき、引っ張れば抜けてしまいます。

従って、インプラントホールの直径は、普通は、インプラントの直径より少し小さくします。また、インプラントホールを作るとき(ドリルで顎の骨をけずり、穴をあけるとき)に、普通はドリルがわずかにブレますので、この意味でも、インプラントホールの直径は、インプラントの直径より少し小さくしようとすることが、必要です。

3.75ミリの直径のインプラントを入れる場合、下顎の場合、3.25ミリの直径のドリルで骨に穴をあけます。上顎の場合は、時には(骨が柔らかい場合は)2.80ミリの直径のドリルで穴をあけます。

インプラントを顎の骨に入れ終わったあと、どれぐらいの回転するチカラ(モーメント)をくわえても、インプラントと、その骨の嵌合力、摩擦力によって、抵抗して、回転せずに頑張っておれるというチカラが意味をもちます。理想的には、30N(ニュートン)が必要だとされています。(インプラントが骨のなかで動くと、インプラントと骨が細胞レベルでくっつきません、オッセオインテグレーションしません)

インプラント埋入の時に30Nのちからで、骨にくっついていても、最初は、時間の経過とともに、その数値は低くなってきます。それは、インプラントのまわりで、骨の細胞の破壊、が起き、それに続いて、骨の再生がおきます。骨のモデリング、再モデリングとか、いろいろなことばで呼んでいます。

最終的には、細胞レベルで、インプラントのまわりに、骨ができて、(インプラント用語では、オッセオインテグレーションした)これで、安定した状態となります。

ここで、上部構造のための型を取る段階になります。