Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

見えるとこだけインプラント?

上顎の前歯だけインプラント?

上顎の前歯は、外見上、審美上とても目立つため、その上顎の前歯が抜けたりすると、たいていの方はなんとか見映えが悪くならないように、歯科医院に行って治療をしたりします。その中で、インプラント治療を希望される患者さんで、前歯が抜けた、または、歯がグラグラしていて近々抜けそうな方のかなりの割合の方が、前歯だけインプラントにして、奥歯は取り外しの入れ歯か、または、抜けたままでもいいのでそのままにしておきたいという方がおられます。

つまり、上顎の前歯だけインプラントにして、奥歯は取り外し式の部分入れ歯か、または、奥歯がない状態です。この状態ですと、噛む場所はインプラントを入れた前歯だけとなってしまいます。

奥歯に部分入れ歯を入れているからそこで噛めるじゃないか、と思われるかもしれませんがそうではありません。

入れ歯は口の中の粘膜の上にのっている状態です。粘膜は弾力性がある程度あります。入れ歯で噛むと、入れ歯の下の粘膜は圧縮されて、部分入れ歯はある程度沈み込みます。入れ歯は、数十~数百ミクロンは沈み込みます。かたや、インプラントは噛むチカラをくわえても、沈み込みはほぼゼロミクロンです。(天然の歯は歯の根っことそれを取り囲む歯槽骨の間に歯根膜という線維を介在する為、噛むチカラを加えると入れ歯と比べればわずかですが少し沈み込みます)インプラントと歯槽骨は直接がっちりと接触しているためです。

ということは、噛む時は入れ歯は沈み込みこみますので、何も考えなければ、ヒトは沈み込まない前歯だけで咀嚼、噛み込みをしてしまいます。

前歯は、普通は、上顎の歯が下顎の前歯を少し覆いかぶさる(1~3ミリぐらい)形になっていますので、そのまま噛めば、下顎の歯が上顎の歯を突き上げる形となります。奥歯がしっかり噛み合っていれば、奥歯の噛み合わせがストッパーとなって、下顎の前歯が上顎の前歯を突き上げることはなくなりますが、奥歯が取り外し式の部分入れ歯の場合、または、奥歯に噛み合わせがなければ、下顎の前歯が上顎の前歯を突き上げてしまいます。

そういう上顎の前歯に下顎の前歯が突き上げるチカラが慢性的にかかると、その前歯は過剰なチカラ、負担できる以上のチカラが加わると、それがインプラントで支えられていれば、インプラントの周りの歯槽骨を破壊して、インプラントは抜けてしまいます。天然歯ならば歯根膜というクッションがありますが、これも奥歯に噛み合わせがなければ、そのうち歯がぐらついて抜けてしまいます。

また、強いチカラがかかるのは、物を食べているときだけではありません。食べ物を食べているときは、意識があるので、無茶苦茶なチカラをかけることは、意識があればないかもしれませんが、夜、寝ているときは、意識がありません。そして、たいていの場合は、部分入れ歯をはずして寝ています。寝ているときは、たいていは、信じられないぐらいのチカラがかかります。

以上のことから、上顎の前歯だけインプラントで奥歯は部分入れ歯、または、奥歯なしということは、インプラント歯科医師としてはあり得ないことです。なぜならば、そのうち、その上顎の前歯のインプラントが抜けるのが明らかだからです。

奥歯もインプラント、前歯もインプラントが理想的です。奥歯がインプラント、上顎の前歯が部分入れ歯はあり得ますが。

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