Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

上顎インプラント

上顎臼歯部にインプラント治療はできない?

 

私は1989年の3月に歯科大学を卒業しました。その頃の日本のインプラント事情は、世界で行われているインプラント治療とは少し違っていました。

1990年代前半は、チタンの金属を使ったインプラント治療が日本にも普及し始めている頃でした。それまでは、日本においては、サファイアインプラントなど、日本独特で色んな所で問題が起きるものがありましたが、ようやく1990年代の前半には、世界標準のチタンインプラントが歯科医師のあいだでも使用されるようになり始めた頃です。

その頃のインプラント治療は、下顎の歯の欠損においては、インプラント治療が行われるのが普通でした。

上顎のインプラント治療はできない、成功率が低いと言われていました。

その理由は、上顎の骨の性状、構造、硬さが、下顎とは全然違うからです。下顎の骨の構造は緻密な骨が多く、骨密度も高くできていますが、上顎の骨の構造は、性状が粗であり、柔らかい。そのため、チタンの金属とは、強くくっつかないと考えられていました。

更に、上顎の奥、臼歯の部分は、上顎洞と言われる副鼻腔が存在して、その上顎洞は空洞なので、空洞にインプラントを打っても固定されません。インプラントは骨の中に打ってはじめてそこに固定されるものだからです。

特に日本人の場合、上顎洞の関係やその他の要因で、大臼歯部での骨の高さは平均4ミリぐらいの長さしかありません。インプラントの長さは一般的には、10ミリですので、4ミリでは短すぎてはみ出してしまいます。従って1990年代は、インプラントは上顎にはできないというのがだいたいの歯科医師の合意でありました。

2000年過ぎにアメリカで、上顎洞を人工骨で部分的に埋めたりしたら、その上顎洞を埋めた分だけ骨、人工骨(多くの人工骨はその後天然骨に置換していきます)の高さが増え、インプラントの長さの10ミリが獲得できるようになりました。

また、インプラントのチタン表面の性状を色々な方法で処理する方法が開発され、上顎のような下顎と比べて柔らかい骨でも、インプラントと骨がしっかり強固にくっつくようになりました。

以上のことから、上顎にもインプラント治療が普通に行われるようになり、その成績を調べると、下顎と変わらない成功率だという結果を得ました。また、インプラントの種類によっては、下顎より上顎の成績の方が良いインプラントもありました。

したがって、現在では、上顎でも下顎でもなんの問題もなくインプラント治療が行われています。

時々、患者さんで、1990年代に歯科医師にインプラント治療を相談した経験がある方や1990年代の知識を持つ歯科医師に相談した方で、「上顎にはインプラント治療ができないのでしょ」 と言われることがあります。現在は、日本を含め世界で、上顎のインプラント治療の成績も下顎のインプラント治療の成績も変わらないのが証明されていますので、安心して治療を受けていただくことができます。

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