インプラント治療 難症例
日本人とインプラント難症例
日本人にはインプラントの難症例が多いと言われてます。
これは事実かどうか?
多分事実なんだろうと思います。
まずは、インプラント歯科医師にとってインプラント難症例とは?
顎の骨の中に埋入するインプラントの標準サイズは、色々なインプラントメーカーがあり、様々なサイズのインプラントがあり、統一されているわけではありませんが、総合すると直径3.8ミリ、長さ10ミリです。
ということは、インプラントを顎の骨に入れるということなので、顎の骨の長さ・高さは10ミリ以上なければなりませんし、厚みは3.8ミリ以上なければ、立体的にインプラントを顎の骨の中に入れることは不可能です。実際には、3.8ミリの幅厚みの中に3.8ミリの物体を入れることは不可能で、もう少し幅厚みが必要ですが。
では、この大きさ、長さ厚みの骨はあるかというと、日本人の場合はない場合が多いということです。ではなぜか?
ひとつには、白人(コケージョン)と比べると、元々東アジア人は、遺伝的に顎の骨のサイズが小さいというのがあります。
もうひとつは、日本人の歯科治療に対する考え方による結果として、顎の歯槽骨の残っている量が人によっては違ってきたというのがあります。具体的には、日本人は抜歯が必要なぐらい悪い歯がある場合、よほど不自由な思いをしない限り、抜かずにそのままにしておくことが多いです。時々腫れて痛くなる、虫歯が深くてかぶせ物の人工歯が頻繁にはずれるけれど抜くよりはいいと考えて、そのままそっとしておく場合もあります。
そうしているうちに、歯の根っこのさき、歯のまわりの炎症は存在して、その炎症の反応により、歯の根っこのさき、歯のまわりの骨の吸収(溶けていくこと)は、だんだんと、時には徐々に進んで、ついには支える骨がなくなりグラグラして痛くなって歯を抜くしかなくなったり、グラグラしてなくても痛みが取れなくなって歯を抜くしかなくなったりして、抜きます。
その過程で、顎の歯槽骨は著しく吸収、溶けてインプラントを埋入するための長さ、厚みがなくなってしまいます。
私も、抜歯しなければならない歯がある場合、かなり丁寧に説明しているつもりですが、言葉としては理解してもらえるのですが、実際それが実感として理解してもらえないことも多々あります。
以上のことから、日本人の場合、骨の厚み、高さが低くなりがちになり、インプラント治療の難症例が多くなるものと思います。