Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

インプラントの本数

歯が1本もない場合のインプラントの本数

 

口の中に、上顎だけ1本も歯がない、下顎だけ1本も歯がない、または上顎下顎の両方に歯が1本もない場合、いったい何本のインプラントが必要か?という問題は、チタンによるインプラント治療が始まって以来、色々な変遷がありました。

今、ほとんどのインプラント歯科医師が一致している見解は、下顎に1本も歯が残っていない場合、下顎の骨の状態に、特に問題なく、上顎との噛み合わせの問題も特別な問題がなければ、すべてのインプラントを人工歯でつなぎ合わせるならば、4本のインプラントで下顎全体の歯を支えることが可能だということです。

また、下顎のたわみを考えれば、下顎を3ブロックに分けて、前歯6本を2本のインプラントで支えて、右奥3本を2本のインプラントで支え、左も同様に3本の歯を2本のインプラントで支えるのがいいというインプラント歯科医師もいます。合計6本のインプラントで支えるということです。世間では、オールオン4というインプラント治療が一部でかなり行われています。当院でも、時々行っていますが、これは、4本のインプラントですべての人工歯を支えようという方法です。これはポルトガルのマローと言う歯科医師が開発した方法でマローは、いかに少ない本数でインプラント治療を行えるかという研究をしたインプラント歯科医師で、3本のインプラントでもやってみたということです。3本でも大丈夫ではあるけれど、もしトラブルが起きたら、その時点で、入れ歯などの方法になってしまうので、やはり、4本のインプラントが必要だったというようなことを、15年前ぐらいの公演か何かで言っていた(ポルトガル人なのにアメリカ英語を話すので、ついにヨーロッパ人までイギリス英語ではなくアメリカ英語を喋る時代となったことにも驚きましたが)と記憶しています。下顎の骨は、硬くて骨密度も高いので、ほとんどの症例で問題なくできます。噛み合わせに問題があれば、やはり3つのパートに分けて6本のインプラントで支えることも、選択肢の一つになります。

  インプラント歯科医師で、見解が大きく分かれるのは、上顎のインプラント治療においてです。どうして見解が分かれるのか?それは、上顎の骨の性状が問題になるからです。つまり、上顎の骨は柔らかく、中には、発泡スチロールに近いような骨がスカスカの方もおられます。

これに関しても、マローは4本のインプラントで上顎全体の人工歯を支えることができると言っています。ただ、もしできなければザイゴマインプラントに切り替えるとも言っていました。ザイゴマとは、頰骨を意味します。つまり、頰骨インプラントです。上顎洞を超え頰骨にインプラントを打ち込む方法です。外国では、失敗して大事故になったとも聞いています。頰骨に入れるには、かなりのトレーニングを必要とします。カダバートレーニングは必須です。インプラント歯科医師が何体ものカダバーでトレーニングしなければ、この方法で治療をするのは問題があると私は考えています。

口腔から頰骨にインプラントを打ち込む場合、眼窩や脳に近い部分もあるので間違って、眼窩や脳などに行かないようにしないといけません。ザイゴマインプラントは、やまもと歯科医院では行っていません。現在日本ではザイゴマインプラントをするインプラント歯科医師は、数える程しかいないと私は認識しています。

20年前ぐらいは、天然歯1本の欠損について1本のインプラントを入れるインプラント歯科医師もいました。上顎に歯が1本もなければ、12本(普通は第2大臼歯のところには入れません)のインプラントが上顎に存在しました。この場合上顎のほとんどがインプラントとなり、血行は大丈夫なのかなど、色々な心配がうまれてきました。

20年前は上顎の欠損の場合10本のインプラントで支えたり、8本のインプラントで支えたりと、現在と比べると多数のインプラントで支えるのが普通でした。

現在は、多くのインプラント歯科医師が行うのは、上顎のインプラントをすべて人工歯でつなぎ合わせるのなら6本が妥当なのではないかということです。やはりマローが言うオールオン4の4本のインプラントで上顎の人工歯すべてを支える場合は、よほど骨がしっかり残っていて、骨がかたくなければできません。普通の状態の骨ならば6本は必要です。

下顎のように3つのパート(セグメントと呼ぶインプラント歯科医師もいます)に分ける時は、前の6本の欠損を3本のインプラントで支え、左右のパートをそれぞれ2本のインプラントで支えるとなると計7本のインプラントが必要となります。

ここ20年の間で、上顎に関しては、入れるインプラントの本数に関する考えも、臨床の結果が積み重なるに連れて(世界各国での成功症例、失敗症例の研究者による分析・反省で)変化して、現在の状況となっています。

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