Dr.BLOG山本院長ドクターブログ

インプラント用の人工骨が承認される

【人工骨 とインプラント治療】

インプラント治療は、顎の骨にチタンのインプラントを埋入する治療です。

インプラントの直径が4ミリとすると、その4ミリのインプラントを骨に入れるためには、骨の厚みは最低4ミリよりわずかでも厚くなければなりません。最低4ミリわずかでも厚くと言ったのは、机上では、4ミリプラス0,0000001ミリでもいいということです。そうすれば骨の中にチタンのインプラントがスッポリはいります。でも、実際には、骨に穴をあける際に、ドリルの直径にも誤差がありますし、骨にドリルで穴をあけるとき、振動したり、あそびがあったり、ぶれがあったりします。また、薄い骨では、強度的に弱く薄ければ、力をかけたときに、口腔内では、噛む力を加えた時、折れたりしてしまいます。したがって、インプラントのまわりには、少なくても1,5ミリの骨の厚みが必要です。

 

4ミリの厚みのインプラントを埋入するならば、インプラントのまわりに1,5ミリ以上の骨を残すならば、前後に必要ですので、それ×2,つまり、1,5ミリ×2の骨の厚みである3ミリの骨の幅、厚みが必要です。

結論として、骨の厚みは、4ミリの直径のインプラントを埋入する場合、そのインプラントの直径4ミリ+まわりの骨の厚み3ミリ、つまり、7ミリの骨の厚みが理想的には必要です。

 

日本人には、白人と比べると、平均的な顎の厚みが元々違います。一般的には日本人の顎の骨の厚みは、白人より薄いです。したがって、直径4ミリのインプラントを入れる場合、7ミリの幅がある骨が残っているインプラント患者さんは、少ないです(白人でも、骨が充分に残っている方は少ないそうです、ましてや、骨の厚みが白人より薄い日本人アジア人は、インプラント治療という観点からは、かなり不利です)。そこで、これに対処する方法が、自家骨移植です。インプラント患者さんのからだの一部からブロック状に骨を採取して、その骨をブロックごと、インプラントを埋入して周りに骨が欠損、または、薄いところに張り付ける(通常は、極小のスクリューで固定してつけます)ということをするか、ブロック状の骨を細かく砕いて、大きな粒の粉みたいにして、骨が欠損したり、骨が薄いところにその粉状の骨をおき、それが通常の骨に固まるまで待ったりします。

 

しかし、この欠点は、骨を患者さんのからだの一部から、もってこなければならないといことにあります。私が、歯科大学の学生の頃は、腰の骨からもってくるのが、普通でした。この場合大掛かりな手術となります。また、欧米では、頭蓋骨から、骨を採取することも多いと聞いています。日本の一部のインプラント歯科医の中には、顎の関節近くの骨を、ゴッソリと取ってくる方法をするグループもいますし。以前は下顎の一番出ているところからもってくることをした時代もありました。(10年ぐらい前まで、この方法が、よく行われていたようですが、唇の感覚が無くなったりすることが起きたため、最近では、ほぼ、行われていないようです。)

 

以上のことは、大きな外科手術を伴いますので、患者さんの身体的、負担は想像を絶するものがあります。そして、多くの方は、こんな大きな手術をしなければならないのならインプラント治療を諦めたいと考える患者さんも多くおられますし、この大きな手術を受けた患者さんのおおくは、2度とインプラント治療を受けたくないと考える方が多数おられます。

そこで、最近、こういう骨の厚みがあまりない時、行っているのが、人工骨を使う方法です。

 

人工骨は、そのうち 将来的に自分の骨に置き換わるものも多くあります。世界的にも、自家骨移植は避けられてきていて、最近は、人工骨がほとんどです。世界的に使われている人工骨で、安全安心が確認されていて、長い歴史がある人工骨は、バイオスという人工骨です。今までに、インプラント治療で世界の大勢の人にこのバイオスが使用され、この製品が原因のトラブルを聞いたことがありません。ですので、世界的には、市場をほぼ独占状態です。世界のインプラントや歯周病の学界での、インプラント治療や歯周病治療に関する発表でも、使用されてるのは、ほぼ全てがこのバイオスです。また、日本では、歯周病の時に使用が、承認されているものです。

 

そして今回、日本では、九州大学歯学部と、歯科材料会社のジーシーGCが共同で開発したジーシー サイトランス グラニュールという製品名の人工骨が、承認されました。低結晶性リン酸アパタイトということです。用途は、インプラント治療ということです。これはかなり画期的なことです。

現在のところ、まだ、承認されただけで、実際に歯科市場に流通はしていないですが、早く使用可能になればと思っています。

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